ごう音を立ててあふれ出る温泉。
このエリアではもっとも湯量が豊富な野湯の一つです。
行く価値のあるへき地
温泉街のあるヘメス・スプリングスと、マンハッタン計画で知られるロス・アラモスの間の山中には、複数の野湯が点在しています。

それらのうち、もっともへき地にあると同時に、もっとも湯量が豊富なのがサン・アントニオ・ホットスプリングスです。

つづら折りの州道126号線からフォレスト・サービス・ロード376号線に入ります。

わだちの深い部分があるダート道のため、ロードクリアランスの高い車での訪問を推奨します。
また、冬季は通行止めとなるため注意が必要です。

終端部はループ状の駐車場になっていて、多くの車が止まっていました。

温泉へは駐車場から往復2.4kmのハイキングです。

サン・アントニオ川に沿って上流方面に北上。

木橋のあるところで対岸に渡り、少し戻るだけの簡単なトレイルです。

国有林内にありキャンプは禁止、日帰り利用のみ。

私は何度か訪れていますが、汚損・破壊行為が近年目に見えて増えているのが残念です。

坂の上から温泉が流れ落ちてくる辺りに、山小屋を発見。

現在は一般公開されていませんが、温泉付き別荘としての過去があるらしい。

急斜面の中腹に湯けむりの立ち上がっている地点が、目的地です。

ありがとう、フランクリン・ルーズベルト
この温泉が史書に初めて出現するのは1875年。
当時より、溶岩の割れ目から温泉が自噴していたとのこと。

巨大なバレス・カルデラの外周部に位置しており、1400万年前から4万年前まで断続的に火山活動が続いた当地ならではの火山性温泉。

最上部には、コンクリートで頑丈に補強された泉源がありました。
三つのパイプからごう音を立ててあふれ出る熱湯。

この泉源は1930年代、市民保全部隊(Civilian Conservation Corps)によって建設されたものといわれています。

市民保全部隊とは、世界恐慌を克服するためのニューディール政策の一環で、失業対策と職業訓練を目的としていました。



そんなフランクリン・ルーズベルト大統領のおかげで、温泉の湧出量はバッチリです。
湧出点での泉温52℃のあつ湯は、無色透明・無味無臭。

強い水流のため最上部の湯溜まりでは藻やごみが押し流され、野湯にしてはきれいな状態が保たれていました。
湯溜まりは四つの階段状に設けられ、下方へ行くほど温度がぬるくなっていました。

水着着用は任意(Clothing Optional)。
この歴史遺産を大切にしたいものです。

まとめ
San Antonio (Murray) Hot Springs, Santa Fe National Forest, New Mexico, U.S.
私の好み
種類:野湯
ルール:混浴
塩素消毒:なし
泉温:~52℃