アイダホの野湯はどれもキャッチーで快適すぎる!
という方におすすめの、ひときわ目立たず、ときに不快なやつです。
下流側の泉源は入浴不適
アイダホ州スタンレーからロウマンを経てバンクスへと向かう東西の直線は、アメリカの野湯の魅力をぎゅっと凝縮したような温泉街道。
感動的で心地よい野湯の数々が目白押しです。
その中で、テン・マイル・ホットスプリングスの地味さ・ワイルド感は、ある意味リアルな野湯を体験できるといえます。
有名なボンネビル・ホットスプリングスと、カーカム・ホットスプリングスの間。
参考ボンネビル・ホットスプリングス - アイダホ州の温泉
危険な魅力を漂わせるアイダホの温泉の真骨頂のような野湯です。 小さすぎる湯小屋もまた素晴らしい。 崖上の湯小屋 アイダホ州道21号線沿い、サカジャウィアへ向かう横道との分岐点付近に存在するのがボンネビ ...
参考カーカム・ホットスプリングス - アイダホ州の温泉
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州道21号線からTen Mile Creek Roadに入り、サウス・フォーク・ペイエット川の支流に沿って南下。
ダート道がぷつんと途切れたところで車を停め、ここから約1kmのハイキングです。
いきなりの渡河。
テン・マイル・クリークは川幅が狭く、増水時でもなければ苦労せず歩いて渡れる印象でした。
プルースト効果をご存じですか?
特定のにおいが、それに結びつく記憶や感情を呼び起こす現象のことをいいます。
私の場合、パイン(松)の香りが、北米の湯めぐりに全身全霊を注いだ日々の感情を呼び覚まします。
道中には無数の松ぼっくりが転がっていました。
確認する限り、泉源は大きく分けて二つ。
下流側の泉源は渓流から少し離れた湿地にあり、川と並行して流出していました。
かつては岩風呂のようなものがあったようですが、泥で埋没して入浴するにはあまりにも浅くなっていました。
来た道を少し戻り、川に湯が注ぎ込む地点を確認。
泉温39℃のぬる湯でした。
上流側の泉源のワイルド感
そこからわずかに上流に行ったところに、たき火台を発見。
もう一つの泉源は、たき火台のある自然堤防の下にありました。
泉温50°のアツアツ。
湯は無色透明・無味無臭ながら、赤茶色の温泉藻が温泉のありかを如実に示していました。
そのままでは入浴できないほどの高温ですが、先人が上手い具合に川の水と混合するための岩風呂を設けていました。
アブの襲来におびえながら、せかせかと流路を工夫してとても快適とは言えない湯だまり体を沈める。
これが野湯の醍醐味。
まとめ
10 Mile Hot Springs, Boise National Forest, Idaho, U.S.
私の好み
種類:野湯
ルール:混浴
塩素消毒:なし
泉温:~50℃