あのニューヨークに、天然温泉が湧いてるって知ってましたか?
冷鉱泉ですが炭酸シュワシュワのパワフルな泉質。
1935年創業の歴史的なバスハウスで入浴します。
サラトガ・スプリングスで飲泉三昧
マンハッタンから北へ車を進めること3時間。
アメリカ独立戦争のターニングポイントであり、アメリカ競馬の聖地、高級避暑地、ポテトチップス発祥の地……などキーワード満載のサラトガ・スプリングスへ到着。
ハイ・ロック・パーク周辺
私がこの町に来た目的は、当然、温泉です。
徒歩圏内に21もの飲泉所があります。
なぜそんなにあるかって?
1900年代初頭、近代医学が未発達だった時代のアメリカでは、飲泉が健康増進に寄与すると考えられていた名残りです。
まずは、町の北外れのハイ・ロック・パーク周辺からスタート。
コングレス・パーク
町でもっともにぎやかな辺りに位置しているのが、コングレス・パークです。
この公園はかつての鉱泉水ボトリング工場の跡地で、敷地内に巨大カジノや豪華ホテルがあって、繁栄の象徴のような場所だったといいます。
サラトガ・スプリングスの飲泉の面白いところは、泉源が密集しているにもかかわらず、場所によって明らかに味が異なることです。
鉄分が強かったり、塩味が強かったり、炭酸が強かったり、飲みやすかったり。
サラトガ・スパ州立公園
飲みやすい源泉の代表が、ステート・シール・スプリング。
味はまろやかなミネラルウォーター。
地元の人がひっきりなしに訪れ、持参したポリタンクに詰めています。
飲みにくい源泉の代表が、ハソーン・スプリング No.3。
脳天を直撃するような凶暴なえぐみが、クセになります。
町の南外れにあるサラトガ・スパ州立公園は、のんびり散歩するのにとっても気持ちがいい場所です。
数々の飲泉所に加え、間欠泉が存在します。
アイランド・スパウタ―では、川の中州になった場所で常時数メートルの高さまで鉱泉が噴出しています。
シュワシュワ加温湯
コップを持参してソムリエ気分でテイスティングしていたら、温泉好きには飲泉所めぐりだけで丸々一日楽しめます。
が、サラトガ・スプリングスでは入浴できることも忘れてはいけません。
1935年創業のルーズベルト・バス&スパの名は、第32代大統領フランクリン・ルーズベルトに由来しています。
世界恐慌を克服するために行った経済政策、ニューディール政策の一環として、この壮麗な温浴施設が建設されました。
サラトガ・スパ州立公園内にある「ギデオン・パトナム・リゾート&スパ」という歴史的なホテルのスパとして営業されています。
ロビーに足を踏み入れると、いきなりファンシーな雰囲気!
利用には事前予約が必須です。
公式サイトからオンラインで可能ですので、旅行前に忘れずに。
マッサージ・エステなど様々なプランがありますが、温泉だけなら一人20分$35.00、40分$45.00です(執筆時現在)。
少し高いような気もしますが、歴史的な価値を考えれば納得のお値段。
写真右側に飲泉スペースがあるので、ここでも忘れずに味わっておきましょう。
浴場はすべて貸切風呂で、その数42。
スタッフにてきぱきと案内され、指定の個室に入ってしまえば、後は一人の時間です。
部屋の中央にマッサージ用のベッドが設置されていて、ふかふかのタオルが用意されています。
大きめの浴槽が部屋の端にあり、琥珀色の湯が最初から貯められています。
湧出点の泉温は約12℃、サラトガ・スプリングスの他の源泉と同じく冷鉱泉です。
これをボイラーで沸かした湯と、冷たいままの鉱泉を浴槽内で混合できます。
冷たい源泉は二酸化炭素が抜けておらず、シュワシュワがすごい。
湯口が浴槽の底にあって、ジャグジーみたいに気泡が出てきます。
実はこの温泉、2007年にニューヨーク・ポストが20年来の温泉偽装問題(加水)をすっぱ抜き、そのおかげで湯使いが改善しました。
今では加温ながらパワフルな泉質を楽しめます。
まとめ
Roosevelt Baths and Spa, Saratoga Springs, New York, U.S.
私の好み
種類:日帰り
ルール:貸切風呂
塩素消毒:感知せず
泉温:加温湯