温泉施設で使い切れずに垂れ流されている湯。
それがあまりにも大量にあるので、上手い具合に入浴できるスポットがあります。
キーオズ・ホットスプリングス、ではない
カリフォルニア州ビショップの温泉プール、キーオズ・ホットスプリングスは、それ自体に歴史的価値があって興味深い施設ですが、今回はそこへ行くわけではありません。
参考キーオズ・ホットスプリングス - カリフォルニア州の温泉
「カリフォルニア水戦争」の舞台となったオーエンズ・バレー。 こちらの温泉プールもまた、時代の波に翻弄されてきました。 カリフォルニア水戦争 カリフォルニア州インヨー郡最大の都市、ビショップから南へ10 ...
看板の後ろに溝があるのが見えるでしょうか?
キーオズ・ホットスプリングスの湧出量はあまりにも多いので、使い切れずに流出している温泉水があります。
キャンプ場と道路の境界をなす溝の温度を計測してみると、まさかの51℃。
湧出時の泉温は53℃といわれているので、ほとんど冷める間もなく捨てられているのが分かります。
この辺りはキーオズ・ホットスプリングスの敷地内なので、立入禁止。
そもそも湯が熱すぎて入浴できません。
シエラネバダおろし
プール棟から約400m西へ、ビショップ市街方面に戻ったところの北側に、施錠されたゲートがありました。
ちょうど高圧電線の下。
遠く離れたロサンゼルス市の所有地であることが書かれていました。
ここは20世紀初頭の「カリフォルニア水戦争」の舞台で、水不足に悩んだロサンゼルス市が詐取的な方法で水利権を取得し、紛争となりました。
さて、立入禁止かと思いきやキャンプ禁止・火気厳禁とのこと。
裏を返せばそれ以外のことをしてもよさそうなので、この辺りで入浴スポットを探すことにしました。
施設から流れてきた湯は、数メートルの川幅を持った小川に成長していました。
赤字で書かれた注意看板。
実は、この場所で水浴びしたことが原因で、2018年に8歳の少年が死亡しています。
死因は、殺人アメーバや脳食いアメーバと呼ばれることもある、フォーラーネグレリア。
少年の遺族は、ロサンゼルス水道電力局を相手取り、塩素消毒などの適切な処置を怠ったなどとして訴訟を起こしました。
北米の野湯ならほとんどどこにでもいるアメーバなので、恐れすぎる必要はないですが、感染例が最近なので気にはなります。
鼻孔に温泉水が入らなければ大丈夫なので、その点だけ注意して。
この地点まで流れてくる間に、湯温は41℃まで下がっていました。
小川はダート道の下の排水管を通って、反対側のプールに注いでいました。
訪問時は氷点下の真冬日。
目の前のシエラネバダ山脈から吹き降ろす強風が湯けむりを吹き飛ばし、苦痛を伴う湯浴みとなりました。
それでも無色透明・無味無臭の湯は、いかにも温泉らしいツルツルの触感が顕著。
「ホットスプリングス」にはないワイルドな魅力が、ここ「ディッチ」にはありました。
まとめ
Keough Hot Ditch, Bishop, California, U.S.
私の好み
種類:野湯
ルール:混浴
塩素消毒:なし
泉温:~41℃