様々な文化が交錯する高地砂漠。
砂漠を突っ切る川の中州に湧く、アツアツの温泉です。
文化の交差点
全長5,415km、アメリカ合衆国でもっとも長い道路として知られる国道20号線。
オレゴン州東部のフントゥーラの近くに、現国道と並行して走る旧道が残っていました。
フントゥーラは、アイルランドおよびイギリス系移民を始祖とする30人余りの小さな集落。
「フントゥーラ」とはスペイン語で分岐点を意味し、マルヒュア川がこの辺りで分岐していることに由来しています。
オレゴンを最初に訪れたヨーロッパ人はスペイン人探検なので、当然、文化的影響を受けているというわけです。
「マルヒュア」はフランス語のmalheur(不運)に由来しています。
18世後半~19世紀初頭にかけてカナダ系フランス人の猟師や伝道師達がこの地域に到達したため、フランス語起源の地名が多く残されています。
なぜ「不運」か?
川の近くに毛皮の隠し場所を設けていたが、おそらくネイティブ・アメリカンによって盗まれたためといわれています。
ものすごい数の国名が登場しました。
正に文化の交差点。
フントゥーラ温泉へは、旧道の橋が閉鎖されているところで車を降り、片道約800mのハイキングです。
地形的にも興味深く、マルヒュア川がほとんど180度蛇行している地点の中州に温泉が湧いています。
そのため、川を歩いて渡る必要あり。
流量は年中を通して多く、雪解けの進行する春は特に危険な水位となります。
上流のウォーム・スプリングス貯水池のダムが放水すると、見る見るうちに水位が上がります。
私は荒ぶる川を見て、一度はあきらめようと思いました。
しかし、子供に手を引かれた老婆が渡河に成功したのを目前にして、挑戦することにしました。
中洲の温泉
決死の思いで渡った島は、不毛の地でした。
中洲の反対側に、雑草に埋もれた岩風呂のようなものを発見。
奥に見える塚は、2005年に温泉で溺死した青年のメモリアルだそう。
その向こうの池が温泉ですが、中洲に湧いているのが不思議。
脱衣用に設けられたコンクリートの板が傾いて地面に埋まっていました。
周囲はぬかるんでいた一方、水の透明度の高さが印象的でした。
池の水は泉温45℃、無色透明・無味無臭。
温度が高いため、気温の下がる時期でないとここで浸かることができません。
流出した湯がマルヒュア川に注ぎ込む辺りは、川の水と混ざってぬる湯になっていました。
有志がこしらえた岩風呂。
川の水が濁っていたのが残念でしたが、ワイルドな湯浴みを楽しめました。
まとめ
Juntura (Horseshoe Bend) Hot Springs, Juntura, Oregon, U.S.
私の好み
種類:野湯
ルール:混浴
塩素消毒:なし
泉温:~46℃