クサい温泉という世界ランキングがあったとすれば、こちらの温泉は間違いなく上位に入るでしょう。
不気味に泡立つ緑色の沼に身体を沈めました。
地熱発電所が点在
世界第5位の地熱資源を保有するメキシコの中でも、首都メキシコシティから西方250kmに位置するロス・アスフレスは、とくに地熱エネルギーの高い一帯です。
轟音を上げながら蒸気を噴き出すプラントが森の中に点在していました。
クサい沼
地熱資源のある場所には当然ながら温泉が湧いています。
ロス・アスフレス・スパ・ナトゥラルは、地域でもっとも人気の温泉付き宿泊施設です。
入り口の看板で見られるように、泥パックをラグジュアリーな雰囲気で楽しむモデルが起用され、そういう路線でマーケティングしたい思いは伝わってきました。
わずか60ペソの日帰り入浴料金を払って敷地内に入ると、強い硫化水素臭が漂っていました。
岩の塊が白煙を上げて火山ガスを噴出しており、これが臭いの主な発生源の様子。
奥へ進むと、緑色の沼が中央部分をせき止められて、大小二つありました。
後々、これらの沼で入浴することになりました。
最奥の木々の中にキャンプ場とキャビンがありました。
キャビンは清潔で新しい雰囲気が残っていました。
小さなレストランも付属しており、その気になれば一日中敷地内で過ごすことも可能。
入浴方法には一連の作法があり、初めにスタッフからレクチャーを受けました。
まず、男女別の更衣室で水着に着替え、荷物は車の中に保管。
次にBaño de lodo termal（泥風呂）と呼ばれる大きい方の沼に10分間入ります。
ひんやりとした30℃程度のぬる湯です。
ところで二つの沼を一周すると、沢の水が流入している場所はあるものの、どこからも明確に流出していないことが分かりました。
そこから推測するに、高温の蒸気が沼の底に噴出し、たまり水を加温しているといった方が実態に近いかもしれません。
温泉成分が溶け込んで濃縮された沼の水には、奇妙なとろみがありました。
泥風呂の大半はロープで囲まれて遊泳禁止になっていました。
激しい泡立ちがそのエリアでは見られました。
沼の底には泥が分厚く積もっていました。
それを自分ですくい上げるか、またはあらかじめ貯めてある泥を使って、体に塗ります。
これに美肌効果があるというのですが、めちゃくちゃ臭い。
私の持ちうる知識と経験を総動員しても、ドブの臭いとしか認識できません。
腐敗臭が混じっている気がします。
他の客もクサい、クサいとはしゃぎながら全身に塗り付けていました。
テマスカルからの沼
次に、泥をまとった状態でTemazcal（蒸し風呂）に15分間こもります。
原始的な雰囲気の小屋がそれ。
天然の蒸気が充満しており、体の芯から温まってきました。
最後に、Baño de agua termal（温泉）と呼ばれる小さな方の沼に浸かります。
温度は35～45℃で、場所によって大きく異なります。
火山ガスが底から荒々しく噴き上がり、水面が波立っていました。
うっかり噴出孔に足を乗せると、飛び上がるほどの高温。
それにしてもこの悪臭、本当に大丈夫なんでしょうか？
帰り際に念入りにシャワーを浴びましたが、体に臭気が染みついてしまいました。
まとめ
Los Azufres Spa Natural, Los Azufres, Michoacán, Mexico
私の好み
種類：日帰り、宿泊
ルール：水着着用
塩素消毒：なし
泉温：～45℃
