ユタ州

ホースシュー・スプリングス - ユタ州の温泉

温泉と呼ぶのもはばかれるほどの、ぬるいだけの沼。

奇妙な歴史の交差点に存在していました。

イオセパ,ユタ

ユタ州ソルトレイクシティの南西120kmに、ハワイからの移民が住んでいたゴーストタウンがあります。

末日聖徒イエス・キリスト教会(モルモン教)に教化されたハワイの先住民が、イオセパに移住したのが1889年。

白人による苛烈な差別を逃れながら、ソルトレイク神殿にできる限り近い場所に居住するため、陸の孤島のような当地が選ばれたといいます。

Welcome sign at entrance to Iosepa historic site, April 2009
Public Domain
かぴばら
かぴばら
アロハ?
場違いな雰囲気ね
あるぱか
あるぱか

ピーク時には228人もの人口を誇りましたが、ハンセン病の流行で衰退。

結局、住民のほとんどはハワイに戻ることを選び、1917年にはゴーストタウン化しました。

今日では墓地と消火栓以外に、ほとんど何も残っていません。

西部開拓の中継地点

Signboard 01

イオセパからスカル・バレー・ロードを通り、北へわずか10分のドライブ。

ホースシュー・スプリングスはBLM(土地管理局)により維持管理されている、ちょっとした公園です。

Parking Lot 01

駐車場とそれに通ずる道は未舗装ですが、普通乗用車で問題なく到達可能。

キャンプは不可で、トイレすらありません。

Signboard 02

ガゼボの下に三つの案内板を発見。

それによると、ホースシュー・スプリングスは西部開拓の重要な中継地点だったようです。

Gazebo 01

東海岸からカリフォルニアへの移民が使用したルートの一つに、ヘイスティングズ・カットオフがあります。

1846年、ドナー隊が苦戦しながらも通過し、カリフォルニア州ファラド・ソーキング・プール周辺で遭難。

参考ファラド・ソーキング・プール(ミスティック・ホットスプリングス) - カリフォルニア州の温泉

ドナー隊の悲劇の場所からもっとも近い温泉。 アクセスが簡単なため、壊れやすく貴重な野湯の一つです。 野ざらしの産業遺産 1840年代のアメリカでは、西部のオレゴン州やカリフォルニア州に移り住む開拓民が ...

極度の飢餓の末に、悪名高い食人行為に至ったことで知られています。

Stream 02

ヘイスティングズ・カットオフが不毛なグレートソルトレイク砂漠を横断する際、貴重な水場であったのがこの場所。

二つの泉が馬蹄形に隣接していることから「ホースシュー」と名付けられました。

小川を丸太橋で渡ったところにそれはありました。

Stream 01

無味無臭で泉温21℃のぬる湯。

水面は大量の藻で覆われ、地面もぬかるんだ粘土状で、快適な湯浴みとはなりませんでした。

Pond 01

どちらかといえば釣り場として人気を博している様子。

ほとんど忘れ去られた歴史の交差点として、近くを通ることがあれば立ち寄ってみてもよいかもしれません。

まとめ

Horseshoe Springs, Skull Valley, Utah, U.S.

私の好み

種類:野湯

ルール:混浴

塩素消毒:なし

泉温:~21℃

公式サイト

  • Writer

Hot Springer Ken

A hot spring enthusiast based in Japan. Toured over 300 North American hot springs while working in Texas from 2016 to 2022. For updates, visit X or Instagram!

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