荒野の火山に湧く野湯。
思いのほか精巧に作られた浴槽も見逃せません。
フマロール・ビュート
ユタ州デルタの北部に位置している火山が、フマロール・ビュート。
傾斜が緩やかな楯状火山のため、その存在に気づく人は少ないでしょう。
しかし、Googleマップなどの航空写真で眺めると一目瞭然。
この場所はかつてボンネビル湖の湖底にあり、湖が後退し始めた約100万年前に噴火したと考えられています。
熱湯と冷水を混合
ベイカー温泉はその溶岩原の東端に位置している野湯です。
自由に利用できますが、どういうわけか立派なコンクリート製の浴槽が設けられていました。
アクセスはダート道ですが、よく整備されていてどんな車でも進入可能でしょう。
温泉横に車を停めてキャンプすることも可能です。
源泉の流路はなかなか複雑。
熱湯は裏手の草むらから流れてきていました。
それが長方形の浴槽の両脇をかすめながら、適量だけが槽内に注がれるようになっていました。
熱湯の出どころをたどると、赤茶けた源泉地帯に到着。
100万年前の火山活動を示す熱源が、今でもここに残っていました。
82℃もの高温の湯が湧いており、地面もぬかるんでいるので注意が必要です。
どうやら人為的に溝を掘って、浴槽の方向に湯が流れるように仕向けていた様子。
こうして流れてきた源泉は、そのままでは熱すぎるので浴槽への投入量は備え付けのタオルで加減するようになっていました。
私は最初、タオルをゴミだと思って取り除いてしまったのですが、入浴できないほど熱くなって大失態。
金気臭を放ち泡立ちを見せる源泉。
マンガンが多く含まれているそうです。
三つ並んだ浴槽は下流側に行くほどぬるめの温度設定になっており、よく見るとどこから引いてきたのか冷水が別の流路で注がれていました。
パイプを通って熱湯の溝と立体交差しているのがそれ。
誰が細工したのか分かりませんが、自然の高低差だけでこれを実現しているのですから、驚かされます。
この職人技のおかげで、しびれるほどの熱湯からぬる湯まで3パターンの温度が楽しめ、大満足の湯浴みとなりました。
まとめ
Baker (Abraham/Crater) Hot Springs, Delta, Utah, U.S.
私の好み
種類:野湯(キャンプ可)
ルール:混浴
塩素消毒:なし
泉温:~82℃