サンフランシスコ市庁舎の建材を生み出した温泉。
見応えがあり、カリフォルニアでもっとも有名な野湯の一つとなっています。
駐車場横の浴槽
トラバーチン・ホットスプリングスへのアクセスは簡単。
国道395号線がブリッジポートの町で直角に曲がる地点を、やや南に行ったところから未舗装路に進入しました。
1km超のダート道の状態は良好。
ぬかるんでさえいなければ、ほとんどの車で走破可能でしょう。
温泉の周辺はBLM(土地管理局)により維持管理され、ピクニックエリアやくみ取り式トイレがありました。
駐車場の横に隣接していたのが、3人ほど浸かれるこちらのコンクリート製の浴槽。
極小サイズの泉源から源泉が泡立ちながら自噴し、それが細い溝を伝って浴槽に注がれていました。
穴場的な湯溜まり
トラバーチン・ホットスプリングスはインスタグラムなどでよく紹介されることから、休日は基本的に混雑すると思ってください。
唯一、混雑を避けられるかもしれない穴場的スポットが、こちらの湯溜まり。
車で通ってきた坂道を少し下って、左手の草むらに入ると見つかりました。
泉温はぬるめで、底部には柔らかい泥が堆積していました。
周辺にも湯溜まりが点在していましたが浅く、入浴に適した場所はほかに見つかりませんでした。
神秘的な析出物
緩やかな斜面を分断するように横たわる細長い丘、これこそが「トラバーチン」です。
トラバーチンとは鉱泉の周りに堆積する石灰岩の一種で、水中の炭酸カルシウムが急速に析出することで形成されます。
San Francisco City Hall - Dale Cruse (2022)
CC BY 2.0
1890年代には、60トンものトラバーチンがここで採掘され、サンフランシスコ市庁舎をはじめとする壮麗な建築物の内装に使用されたといいます。
ネイティブ・アメリカンのパイユート族が神聖視していた当地はかくして破壊されましたが、温泉は今でも湧いています。
この丘がなぜ細長い形状をしているかというと、温泉が地表を流れるとき、流路の両側に成分が堆積するため。
丘の背の部分には亀裂があり、源泉が流れていました。
湧出点の泉温は66℃。
源泉は亀裂に沿って流れる間に、自然冷却されていました。
丘の先端には人為的に作られた四つの岩風呂があり、そのうち三つは適温に保たれていました。
弱い金気臭を伴う泉質。
神秘的な析出物のドームを鑑賞しながらの入浴となりました。
ひっきりなしに入浴客や見物客が訪れるのも無理もありません。
まとめ
Travertine Hot Springs, Bridgeport, California, U.S.
私の好み
種類:野湯
ルール:混浴
塩素消毒:なし
泉温:~66℃