アリゾナ州ツーソンから車で2時間走った所に、「安らぎの本質」という哲学的な名前の温浴施設があります。
それは手作り感満載の珍スポットでした。
静かなキャンプ場
うっかり通り過ぎてしまいそうほど地味な外観の、温泉を引湯しているキャンプ場。
日帰り入浴は1時間$15.00、3時間$35.00(執筆時現在)。
壁に付けられたベルのひもを引くと、オーナーが現れました。
と、それに先んじて、かわいい番台犬のお出迎えがありました。
敷地内で最初に目にすることになるのは、水着着用必須の共同露天風呂。
温度設定はすべての浴槽の中でもっともぬるく、37℃程度でした。
十分な量の湯の投入が見られ、湯使いは秀逸。
無色透明の湯ながら口に含むとしっかりと塩味が効いており、よく温まる泉質であることが分かりました。
工夫を凝らした貸切内風呂
貸切風呂は全部で五つで、浴槽内の温度は39~41℃ほどの適温。
どれも簡素なバラック小屋の内風呂ですが、1時間と決められた滞在時間中に自由に行き来でき、自分の好みの空間を探しました。
アジアをイメージしたものから、ビーチリゾートをイメージしたものまで多様。
こちらは古代ローマの浴場を模したと思われる内風呂。
狭さを感じさせない工夫でしょうか、三方の壁にローマ風呂を想起させる布が張り巡らされていました。
しかし、学園祭の出し物のような手作り感にあふれており、お世辞にも洗練されているとは言えません。
薄っぺらい雰囲気のローマ風呂に浸かりながら、「ローマは一日にして成らず」という言葉の重みを考えました。
こちらは洞窟風呂。
高い位置の湯口から、深めの浴槽に源泉が注ぎ込まれていました。
ドドド……
薄暗い小屋の中に、ただただ水音が響いていました。
ふと見上げると、粗末なトタン屋根の隙間から日の光が差し込んでいました。
安らぎの本質とは案外、このような飾らない雰囲気にこそ存在するのではないかと思いました。
まとめ
Essence of Tranquility, Safford, Arizona, U.S.
私の好み
種類:日帰り、宿泊(キャンプ場)
ルール:貸切風呂、水着着用
塩素消毒:感知せず
泉温:~41℃
ローパー・レイク・ステート・パーク
エッセンス・オブ・トランキリティーからわずか5分のドライブでたどり着く州立公園。
この公園内でも似た泉質の温泉が湧いていて、キャンパーたちに大人気の様子でした。