アリゾナ州でもっとも熱い温泉へと向かう道は、鉄砲水で完全に破壊されていました。
困難な道のりの末に待ち受けるのは、82℃もの熱湯。
モレンシー鉱山
アリゾナ州東部、ニューメキシコ州との州境付近に位置する町、モレンシーは現役の鉱山街です。
資源メジャーの一角、フリーポート・マクモランが72%、住友金属鉱山(株)の現地法人が28%出資する北米最大級の銅鉱山が、ここにあります。
そこでは一戸建ての家ぐらいの巨大な特殊車両が、列をなして一般道を横切る光景が見られます。
かつての鉱員のレジャースポット
1872年開山の歴史あるモレンシー鉱山の近くに、その昔鉱員たちが集ったという温浴スポットが残っているといいます。
早速行ってみましょう。
鉱山から南方へ30分ほど車を進めたところの砂漠に、「ギラード・ホットスプリングス・ロード」という名前の道がありました。
そのダート道を西へ進むと、道全体が有刺鉄線で封鎖されていました。
ここで車を降り、有刺鉄線をかいくぐって先へ進みました。
ところで、砂漠でもっとも多い死因は溺死といわれています。
保水力が乏しい砂漠に大雨が降ると、雨水が地中に染み込まずに地表を伝って大洪水が起きます。
その激流が先ほどの道を完全に洗い流し、幅の狭いスロットキャニオンに成り代わっていました。
このように道が消失しているため、鉱員のレジャースポットとして知られた野湯は、今や打ち捨てられているのです。
3メートルほど下の谷底にジャンプして降りるのは容易ですが、逆に登るのには苦労しそう。
不安を抱きながらも、徐々に谷を下っていきました。
人気観光地であるアンテロープ・キャニオンのような美しい渓谷とは言えませんが、構造はまったく同じ。
乾ききった谷に転がる岩や石は丸い形に浸食されていて、大雨が降ればこの間隙に大量の雨水が押し寄せることを示唆していました。
30分ほど歩き続けると辺りは開け、樹木が見られました。
ヒラ川です。
ニューメキシコ州のヒラ・ホットスプリングス・キャンプグラウンド周辺が上流なので、アリゾナ州まで流れ着いたこの辺りは中流ということになります。
参考ヒラ・ホットスプリングス・キャンプグラウンド - ニューメキシコ州の温泉
日が暮れれば混浴(Clothing optional)になる温泉キャンプ場。 山間部にあって夜間は冷え込むので、防寒対策は万全にして。 設備は最小限 温泉を引湯したRVパーク、ヒラ・ホットスプリングス ...
砂州にぽつんと、やけどへの注意を促す看板がある以外に、構造物はありませんでした。
どうやらお目当ての温泉に到着した様子。
川面付近の土手が赤茶色に変色していました。
その距離は川沿いに50メートルほどで、そこから広範囲にわたって源泉が湧出していました。
近付いてみると、案の定やけどをしました。
源泉温度は82℃の高温で、川の水とうまく混ざりあっている場所はよいですが、ムラがあって危険。
また、川の水の透明度がそれほど高くないのも難点です。
心地よい湯浴みという訳にはいきませんでしたが、アリゾナ州でもっとも熱い温泉という感慨はありました。
まとめ
Gillard Hot Springs, Gila Box Riparian National Conservation Area, Arizona, U.S.
私の好み
種類:野湯
ルール:混浴
塩素消毒:なし
泉温:~82℃