「温泉」と名の付く場所なら、どんなところでもまず行ってみます。
それはアリゾナ州ツーソン近郊の美しいオアシスでした。
灯台下暗し
ツーソンのダウンタウンから東へ30分のドライブ。
サンタ・カタリナ山脈の麓まで来ました。
ピマ郡の維持管理するアグア・カリエンテ・リージョナル・パークは、入場料無料。
「アグア・カリエンテ」は、スペイン語で温泉を意味しています。
米墨戦争終結に伴う1848年のグアダルーペ=イダルゴ条約によって、カリフォルニア州全域など広大な土地がメキシコからアメリカ合衆国に割譲されましたが、ツーソンを含む一部の地域はまだメキシコに属していました。
これらがアメリカ合衆国の領土になるのは、国境紛争の解決等を目的とした1853年のガズデン購入から。
スペイン語の地名がそこかしこに残っているわけです。
公園内では紀元前3500年ごろの狩猟採集民の遺跡が見つかっており、大昔から泉が存在していたことがうかがえます。
1150年ごろにはネイティブ・アメリカンのホホカム族の集落があったといいます。
ガズデン購入以降は、軍の野営地として利用されました。
その名のとおり、実際に温泉が湧いていたようです!
1874年には、天然温泉の効能を宣伝する健康ランド、果樹園、牧場などが建設されました。
1916年以降は個人所有となり、裕福な歴代オーナーがゲストをもてなすのに使われたとか。
1985年、ピマ郡初の自然公園として整備され一般公開されました。
駐車場から巨大なメイン・ポンドにたどり着くのは簡単でしたが、温泉やその痕跡を探すのに私は手間取りました。
灯台下暗し。
それはメイン・ポンドから東に外れた、出発点である駐車場脇のヤシの茂みの中にありました。
なぜこんなことに
最初に残念なお知らせをしておくと、個人所有されていた期間に、富豪が泉源をダイナマイトで二度にわたって爆破しました。
1930年代の出来事といわれています。
それ以前は温泉と冷泉が隣接して湧いていた様子。
湧出量を増やそうと思っての取り組みだったようですが、大失敗。
泉源は一つに合体し、流量は半分以下に落ち込みました。
1960年代には別の富豪が再度ダイナマイトで破壊し、流量は更に半分以下に減少。
近年では完全に涸れることもあるため、メイン・ポンドの水は井戸からの揚水とのこと。
訪問時は、ガスとともにかろうじて湧出が確認できました。
泉温26℃のぬる湯。
神秘的な雰囲気が心に残りました。
入浴は禁止されています。
Agua Caliente Regional Park, Tucson, Arizona, U.S.
私の好み
種類:日帰り
ルール:入浴不可
塩素消毒:なし
泉温:~26℃