数々の温泉に恵まれているフーバーダム周辺。
至る所から熱湯が湧き出る天然の回廊をとくとご覧あれ。
リバティ・ベル・アーチ
米国を代表する観光名所、フーバーダムの下流には大まかに四つの温泉があります。
今回は、ホワイト・ロック・キャニオン駐車場から徒歩でリングボルト温泉を目指しました。
左手がルート93の旧道、右手が温泉へと続くトレイルです。
James Marvin Phelps - Liberty Bell Arch (2015)
CC BY-NC 2.0
途中で分岐する道を進むと、リバティ・ベル・アーチという奇岩へのハイキングも可能。
往復5km程度の追加になりますが、体力に自信がある人はチャレンジしてみては?
スロット・キャニオンをせき止めて
温泉への道は往復10km弱のループ状で、どの方向から回っても良いしどちらかを通らなくても大丈夫ですが、北ルートの方が歩きやすいです。
南ルートは峡谷に入り込んでいくのでややテクニカル。
往路は下りで復路は上りとなることを考え、私は急な南ルートから入って緩やかな北ルートから出る、時計回りのコースを選びました。
なるほど、谷が急に深くなっていました。
下り坂なので飛び降りましたが、上り坂だったら大変だったでしょう。
このような狭い渓谷は一般にスロットキャニオンと呼ばれています。
乾いた地域で鉄砲水の浸食によって形成されるこうした谷には、ふつう水は流れていません。
そのはずですが、青みがかった水面が急に見えるようになったら、それが温泉。
巨大な一枚岩のあちこちに細い亀裂があって、それらから温泉が染み出していました。
無味無臭の源泉は湧出点で約50℃。
湯口の周囲には析出物が見られました。
一つ一つの湯口からの湧出量は少ないですが、たくさんの流れが集まって、谷全体が温泉の川となっていました。
水深は座った時に胸ぐらいまで。
プールは43℃程度の適温になっていました。
見上げると、この絶景。
少し下流側へ進むと、土のうが積んでありました。
人為的に湯がせき止められていたというわけです。
立派なプールのように見えますが、これがハイキングコースそのもの。
時おり、ハイカーが湯をかき分けて通り過ぎていきました。
土のうでせき止められた箇所をもう一つ越えた先にあったのが、このプール。
ここまで来ると冷却が進んでぬる湯になっていました。
最後の土のうを乗り越えた湯は、そのまま崖下へ滝となって流れ落ちていました。
金属製のはしごが固定されていたので、恐る恐る降りてみました。
北ルートから来た人は、逆にこのはしごを上って温泉にエントリーすることになります。
ハイキングのクライマックスとしては、極上の演出でしょう。
ぬる湯の川は峡谷の底をしばらく流れ、やがて地中に消えました。
そうすれば、コロラド川の川岸に到着。
フーバーダム下流域の温泉を効率よく回るなら、ウィロー・ビーチからボートなどをこいでコロラド川を遡って来ることもできます。
まとめ
Ringbolt (Arizona) Hot Springs, Lake Mead National Recreation Area, Arizona, U.S.
私の好み
種類:野湯
ルール:混浴
塩素消毒:なし
泉温:~50℃