ヒッピー系温泉のお手本のようなリゾート。
黄土色の湯はインパクト抜群です。
明確なミッション
先住民のユート、ショショー二、パイユート族が利用していた温泉が、交易路「オールド・スパニッシュ・トレイル」沿いの休憩地となったのが、歴史の序章。
1847年、末日聖徒イエス・キリスト協会(モルモン教徒)によるユタ州への入植が開始。
1886年には、温泉を含む土地がクーパー夫妻によって開拓されました。
当時はモンロー・ホットスプリングスと呼ばれ、浴場のほかにダンスフロアもあったそうです。
何度かの所有者の交代の後、1996年にプロデューサー/アーティストのマイク・ギンズバーグによって購入されたのが今日のミスティック・ホットスプリングスの始まり。
ここでは日帰り入浴に加えて様々な宿泊オプション、更にはライブコンサートが提供されています。
雑然とした雰囲気にゲストは最初圧倒されるかもしれませんが、このリゾートのミッションを知れば合点がいく部分もあるでしょう。
ミスティック・ホットスプリングスは、自然、アート、アンティークとの触れ合いを通じて、自分の本質を見つめる環境を作り上げます。
Mystic Hot Springs
米国特有のヒッピー系温泉施設のお手本のような、明確なミッションです。
宿泊オプションのうちキャビンは、モルモン教の開拓者が19世紀に建てた粗末な小屋をリノベーションしたものです。
私が宿泊したのはバス。
計7台のビンテージバスと、1台の幌馬車をオンライン予約可能です。
底冷えのするおんぼろバスで一夜を明かして、お金をドブに捨てたと思うか?
あるいは、少しワクワクするような童心の欠片を自分の中に見出だすか?
その判断はゲスト自身に委ねられています。
幸い、隣接するシャワールームは清潔で室内は24時間暖められていました。
パワフルな地熱活動
コロナ禍で料金体系が変更されたのですが、温泉に入るためには2時間制のチケットを予約購入しなければなりません(別料金)。
従前は温泉に浸かり放題だっただけに、残念です。
入浴エリアは施設の裏手の丘にありました。
水着着用は必須です。
大きなコンクリート製のプールが二つ。
金気臭を伴う黄土色のにごり湯で満たされていました。
手前のプールは深さ1.2mで、配管を通じて源泉が直接投入されていました。
温度は41℃の適温。
奥のプールは深さ0.6mで、石灰華のテラスから源泉が投下されていました。
温度は38℃のぬるめ。
前回訪問時は、見てのとおり湯口にアーチ状の物体はなかったのですが、改造が施された模様。
温泉水は原始的な溝を伝って、斜面の上の方から降りてくる構造でした。
溝には分岐が設けられ、先ほどのプールとは別に6つの鋳物ホーロー浴槽に配湯されるようになっていました。
溝の部分での湯の温度は実測66℃あり、相当なあつ湯。
この時点では透明に見えますが、酸化が進むとにごりが生じます。
析出物のテラスを伝って湯が浴槽に到達するころには、十分に自然冷却されていました。
個人的にはもっと熱い方が好みですが、源泉温度が高いため調節が難しいものと思われます。
いくつかの浴槽は日々成長する石灰華に取り込まれ、一体化していました。
温泉を引湯しているキャビンもありました。
泉源付近はフェンスで囲まれて立入禁止だったものの、激しい湯気を上げて存在感を示していました。
湧出点で泉温76℃ものパワフルな地熱活動は、さながらミスティック・ホットスプリングスの心臓部でした。
まとめ
Mystic (Monroe/Cooper) Hot Springs, Monroe, Utah, U.S.
私の好み
種類:宿泊、日帰り
ルール:水着着用
塩素消毒:感知せず
泉温:~76℃