大陸横断鉄道の建設のために動員された中国人労働者。
人々が愛した温泉は、今も地域住民の憩いの場になっています。
歴史ある温泉がリノベーション
アメリカ最初の大陸横断鉄道は、1869年、ユタ準州のプロモントリー・サミットでユニオン・パシフィック鉄道とサザン・パシフィック鉄道が接続したことで完成しました。

難工事の達成に決定的な役割を果たしたのが、中国人移民の安価な労働力だったといわれています。
そのプロモントリー・サミットから30分強のドライブでたどり着くのが、クリスタル温泉です。

ネイティブ・アメリカンが去った後の当地に木製の浴槽を持ち込んで、過酷な労働でたまったストレスを癒していたのが中国人。
1901年にはマドセン温泉の名前で、現在の施設の前身が開業しています。

クリスタル温泉は現在、RVパークと日帰り入浴を提供しています。
施設は2018年に大規模リノベーションされてピカピカ。

料金は大人$18.00(執筆時現在)。
廊下には、米国を中心に世界の有名温泉地のパネル展示がありました。

温浴エリアは水着着用必須です。

モノトーンで機能的にまとめられた更衣室の様子。

ガツンとくる源泉は意外にも秀逸
全てのプールが屋外にあり、広いエリアにはピクニックテーブルが点在しています。

洞窟を模した構造の上から、温泉が滝のように流れ落ちています。

ディズニーランドで勤務していた現オーナーらしい工夫といえます。



クリスタル温泉では57℃の泉源のわずか15m隣に21℃の冷鉱泉が湧き、それらの豊富な湧出量で知られています。

このコンビネーションのため、二つの源泉を混ぜ合わせて自在に温度調節することが可能になっています。

そのメリットは湯使いにもプラスに働いているよう。

大きなプールでは最低限の塩素消毒がされていますが、三つある小さなホット・タブでは不快なカルキ臭は感知できませんでした。

もっとも熱い浴槽でも温度は41℃程度。

個人的にはもっと熱い方が好みですが、塩気が強く金気臭を伴う泉質にはうれしい驚きがありました。

キッズ向けのプールとウォータースライダーが、温浴エリアからきっちり分けられているのは好印象。

50mプールまで温泉で満たされていました。

これだけ多くのプールを天然温泉で満たして、そこそこ良いコンディションを保てているのは、湧出量に恵まれた二つの泉源のおかげ。

こんな奇跡的な温泉が沿線にあって、かつての大陸横断鉄道の建設はさぞかし効率的に進んだことでしょう。

まとめ
Crystal Hot Springs, Honeyville, Utah, U.S.
私の好み
種類:日帰り、宿泊(RVパーク)
ルール:水着着用
塩素消毒:あり
泉温:~56℃