世界最大の奇祭とも称される「バーニングマン」の開催地にもっとも近い温泉の一つ。
バーニングマン開催期間中は、混雑防止のため閉鎖されます。
注意
BLMはこの温泉が汚染されているとして警告しています。
バーニングマン
パンデミックの影響で一時休止していたものの、毎年8月の最終月曜日から9月の第一月曜日(レイバーデー)にかけて開催される巨大イベント、バーニングマン。
The Man and participants on Promenade (2010) - Mike Q Victor
CC BY-SA 3.0
ブラックロック砂漠に8万人近いヒッピーや大富豪が集まり、「ブラックロック・シティ」なる期間限定の地域社会で自給自足の生活を営みます。
この街では商行為は禁止され、参加者はインスタレーションなどを通じて独創的に自己表現し合う、一種の助け合いの精神が求められます。
健康を犠牲にして?
さて、当ブログでバーニングマンを定義するのは到底不可能だと気付いたところで、トレゴ・ホットスプリングスのご紹介。
このスポットは、例のブラックロック・シティから直線距離で約8kmしか離れていません。
当地は、およそ9千年前に消失した古代湖ラホンタン湖の湖底。
塩湖の水が干上がってできた塩類平原の特徴が、白っぽい地表に表れていました。
アクセスはダート道のみですが、路面の状態は良好でほとんどの車で到達可能。
要注意なのはまれに見られる降雨の後で、走行不能なほどぬかるむことがあります。
温泉の周辺は広大な空き地になっていました。
それもそのはず、90年代にはこの場所でアートイベントが行われ、そこで培われた精神がバーニングマンに継承されたといわれています。
BLM(土地管理局)の所有地ですが、無料で開放されています。
キャンプは認められていますが、資源保護の観点で泉泉から90m離れて設営することが推奨されています。
温泉が史書に初めて登場したのは1856年。
開拓者の目には、この熱水泉が砂漠では貴重な水源に映りました。
そのため、1860年には泉源に隣接するように120mの水路が手掘りで設けられました。
熱水をためて冷却するためです。
その歴史的な水路が、今もそのまま現存しているというから不思議なものです。
水路は泉源から南の方角に向かって掘られていました。
逆に北側には、長大な貨物列車が行き交う鉄路が隣接していました。
1900年代前半にウェスタン・パシフィック鉄道として開通した路線です。
泉源はおよそ2m四方の狭いエリアに集中し、活発な地熱活動が見られました。
もろい地面から泥火山のように湧き上がる源泉は、81℃の高温を記録。
顕著な硫化水素臭が感じられました。
熱湯は水路へ流出。
ここで自然冷却され、入浴に適した温度の場所を探せました。
水路の底は柔らかい泥で覆われ、湯は常時濁った状態でした。
周囲の陸上には家畜のふんが目立ちました。
生物の水飲み場として機能している様子。
BLMは、水中からふん便性大腸菌およびコレラ菌が検出されたとして、注意を促しています。
病原菌に汚染されているからといって、入浴できないわけではありません。
それもこの砂漠で認められている「自己表現」の一つなのですから。
まとめ
Trego (Butte) Hot Springs, Jungo Rd, Nevada, U.S.
私の好み
種類:野湯(キャンプ可)
ルール:混浴
塩素消毒:なし
泉温:~81℃