カリフォルニア州サンノゼ近郊で湯の良い温泉といえば、マーシー温泉は外せません。
露天風呂も内風呂も一人用の小さなバスタブになっているので、新鮮なままの源泉を楽しめます。
カサ・デ・フルータ
サンノゼのダウンタウンからマーシー温泉まで、車で2時間もかかりません。
その中間地点にあって休憩処にちょうどいいのが、Casa de Fruta。
日本の道の駅のような感じで、地産地消の野菜、果物、ナッツ類が所狭しと並び、ワインのテイスティングまでできました。
素朴なキャビン
州間高速道路5号線を離れ、荒涼とした砂漠にオアシスが見えてきたと思ったら、それがマーシー温泉。
太平洋プレートと北アメリカプレートの境界をなす、サンアンドレアス断層が近くを走っています。
もともとネイティブ・アメリカンには知られていた当温泉が、初めて歴史に登場するのが1848年。
西部開拓時代には、ファイブ・ホアキンズ・ギャングという無法者の拠点であったといいます。
1912年、John N. Merciなる人物がサンフランシスコの不動産業者に土地を売却した後、温泉リゾートが建設されました。
建物のいくつかは当時のまま残っており、リノベーションされながら使用されています。
温泉には、キャンプサイトと宿泊用のキャビンが併設されていました。
私が泊まったキャビンはこんな感じで、ベッドがギリギリ一つ収まっているだけの質素なもの。
そもそも電気すら通っていない地域で、太陽光発電で自給自足しているので、贅沢は言っていられません。
まずは、水着着用必須エリアを見てみましょう。
入ってすぐのところに見えるのが、スイミング・プール。
温泉水は使用していないのか、特徴の感じられないぬるま湯。
塩素消毒のにおいもあって、温泉ファンにはおすすめできません。
プールの脇にあるのがサウナ棟。
これだけだったら、アメリカにありがちなスパといったところですが、マーシー温泉の真価は個人用バスタブにあります。
バスタブだらけ
プールから一段高くなったスペースに、多くのサンシェードが並んでいました。
サンシェードの下に、一人用の小さな浴槽が並んでいました。
蛇口をひねると、赤いホースから源泉、青いホースからは冷水が出てきました。
源泉は無色透明ですが、硫化水素臭がふわりと立ち昇り、名湯の予感。
どんなに湯が良くても、水着を着て温泉に入るなんて風情に欠ける、と言う方には混浴(Clothing optional)エリアがおすすめ。
こちらはキャビンの裏手で柵に囲まれた、ウッドデッキの上にありました。
混浴とは言え個人用バスタブに分かれているので、さほど気兼ねすることはありません。
源泉温度は湧出点で48℃。
タブが満たされるころには熱めの適温になっていましたが、湯加減以上に温まる印象。
塩分を多く含有する、いわゆる「熱の湯」です。
真夏の気温は40℃近くまで上昇するので、暑い時期を避けて訪問した方がよいでしょう。
一方、砂漠の夜は急激に温度が下がり、星空を眺めながらの湯浴みはとても快適。
宿泊者は、時間を指定して貸切内風呂を利用できます(追加料金不要)。
歴史的な湯小屋。
二つある浴室の前の床には、トカゲを模した美しい紋様がありました。
こちらのタイル張りの浴室は、最近リノベーションされたようで真新しい木の香りがしました。
もう一つの浴室は、湯口付近が岩垣状になっていて、ちょっと日本の温泉旅館のような風情を感じました。
見てください!浴室のベンチの施された精巧な装飾。
先ほどのトカゲの紋様といい、今でこそひなびた温泉キャンプ場といった雰囲気ですが、かつてはそこそこ、高級な温泉リゾートであったことがしのばれます。
水面付近にパイプが突き出ていて、掛け流しのままでもタブから上手く排出されました。
優れた泉質を小さな浴槽で楽しむ、温泉ファンには至福のひとときでした。
まとめ
Mercey Hot Springs, Firebaugh, California, U.S.
私の好み
種類:日帰り、宿泊
ルール:水着着用、混浴、貸切風呂
塩素消毒:あり(大プール)、感知せず(その他)
泉温:~48℃