サンフランシスコといっても、ゴールデン・ゲート・ブリッジなどで有名な大都市のことではありません。
ニューメキシコ州のサンフランシスコ温泉は、日帰りのハイキングにうってつけの野湯です。
入門編の野湯
ヒラ国有林は、アメリカ合衆国本土で6番目に大きな国有林で、ヒラ川と、その上流部で最大の支流であるサンフランシスコ川の流域が含まれます。

広大な森林公園内に点在している野湯のうち、サンフランシスコ温泉へは往復5kmのハイキングで到達でき、入門編の野湯といえます。
状態のよいダート道の行き止まりに立派なトイレと掲示板が現れ、ここがハイキングのスタート地点。

案内板によれば、ガラガラヘビの生息域であることに注意が必要で、そして入浴中の水着着用が定められていました。
低木がまばらに生える原野を進むと、サンフランシスコ川の渓谷を見下ろす地点にやってきました。

これより先は日帰り専用エリアで、野営は禁止。
青々した樹木が目立つ氾濫原を目指して、斜面を下りました。

傾斜は急ですが、ジグザグに分かりやすく登山道が設けられ、景色を楽しみながら徐々に高度を下げます。
一か所だけ、川を歩いて渡る必要がありました。

普段はひざ丈もないほどの深さなので問題ありませんが、水位が上がっている場合はあきらめましょう。
シャベル持参で

対岸へ渡ると、土手の下に水たまりがあり、特徴的な色の藻が繁殖していました。
水温は36℃程度、清潔感に欠け、ここでの入浴ははばられました。

上流側に少し歩くと、更に三つのプールが見つかりました。
なお、大雨のたびに川の水面下に沈む場所に位置しているため、温泉の状態は一定ではないことに注意が必要です。

シャベルを持参して、自分好みのプールを作るぐらいの意気込みで訪れた方がよいでしょう。


三つのプールでは、湧出量が比較的多く藻の繁殖が見られませんでした。

これだけ川面の近くにありながら、川の水の直接の混入はありませんでした。
深さが足りず、シャベルで掘り進めば改善できそうですが、寝そべらないと全身で浸かれません。

無味無臭、特徴に乏しい泉質で、泉温は40℃弱。
トイレまで設置してハイキングコースを整備している割に、温泉があまりにも原始的で、その落差には驚かされました。

しかし、北米の温泉ファン(ナチュラル・ソーカー)の多くが、入浴行為そのものよりむしろ、温泉に到達するまでの自然環境や、いかに自然に湧出したままの温泉であるかを重視していることを思えば、何も不思議なことはありません。
まとめ
San Francisco Hot Springs, Gila National Forest, New Mexico, U.S.
私の好み
種類:野湯
ルール:水着着用
塩素消毒:なし
泉温:~40℃