温泉を追い求め、はるばるたどり着いたのは田舎町のため池。
思いのほか澄み渡ったぬる湯で、夏場に遊泳する分には絶好のロケーションでしょう。
旧カリエンテ駅
1993年に鉄道駅としての役割を終えた、ネバダ州カリエンテ駅。
シカゴとロサンゼルスを結ぶ、ユニオン・パシフィック鉄道の停車場でした。
ネバダ州のユタ州との州境付近に位置する市、カリエンテはスペイン語で「熱い」を意味します。
その名から推測できる通り、この一帯には温泉が湧きます。
末日聖徒イエス・キリスト教会(モルモン教)の開拓地であった当地は、ユニオン・パシフィック鉄道沿いの温泉街として栄えました。
ため池で泳ぐ?
カリエンテの旧駅舎から20分ほど北東に車を進めると、パナカという名前の田舎町があります。
1864年、モルモン教徒が現在のネバダ州内に最初のコロニーを作った場所として知られています。
今でも敬虔な信者が多い地区で、ネバダ州ではたった二つのカジノ禁止の自治体の一つであり、かつ唯一のドライ・カウンティです。
つまり、酒類の販売が認可されていません。
この町の裏手に、どう見ても水池のような場所があります。
何とこれが、本日入浴する温泉なのです。
池の片方は低山に面していて、ヨシのような水草が茂っています。
その反対側は、コンクリート製の小振りなダムでせき止められています。
本当に遊泳していいかどうか怪しまれる光景です。
水着着用に関するルールは明確には存在しないようです。
ただ、厳格なモルモン教徒とのトラブルを避けるため、水着はあった方が賢明でしょう。
近付いてのぞき込んでみると、思いのほか水が透き通っています。
泉温は年間を通じて29℃程度の、ぬる湯。
この池はパナカ町により維持管理され、年に一度4月ごろに「池の水ぜんぶ抜く」が行われます。
これによって藻の繁殖が抑制されます。
ちなみに写真は2回の異なるタイミングで撮影しています。
キラキラに輝いているのが4月の清掃直後、どんよりとにごっているのが2月の汚れきった状態です。
まったく違う池のように見えます。
もっとも深くなっているのはダムの周辺で、大人でも足が底に届きません。
源泉の湧出ポイントは山側の浅い地点に多い様子で、底からプクプクと気泡が上がっています。
においは無いか、敢えて言うなら池の水のにおいで、温泉らしさは皆無です。
その泉温だけが、れっきとした温泉であることを物語っています。
まとめ
Panaca Warm Springs, Panaca, Nevada, U.S.
私の好み
種類:野湯
ルール:水着着用推奨
塩素消毒:なし
泉温:~29℃