混浴(Clothing optional)、ヨガ、瞑想、菜食主義といった、西海岸に多いニューエイジ系温泉の要素を網羅するブレイテンブッシュ温泉。
日帰り入浴で、その独特な世界観を体験してきました。
補足情報
2020年の山火事被害のため、現在の様子と異なる部分があります。
三つのメドウ・プールズ
オレゴン州を縦断するカスケード山脈は、まれに見る地熱地帯です。
アメリカ本土で発生した有史以来の火山噴火はほぼすべてカスケード山脈で発生しており、そこには温泉と、それをとりまく温泉文化が存在します。
古くはネイティブ・アメリカンによって利用されてきたブレイテンブッシュ温泉は、ニューエイジの流れを汲むコミュニティによって70年代から維持されています。
といってもヒッピー・コミューンのような無法地帯ではなく、むしろ厳格に運営され、宿泊客・日帰り入浴向けに開放されています。
日帰り利用は一日の入場がわずか20人に制限されており、Webサイトで残枠を確認したうえで電話予約する必要があります。
料金は最低$23.00から最高$39.00(執筆時現在)。
値幅があるのは閑散期とか繁忙期とかありきたりな理由ではなく、驚いたことに、心づけです。
つまり、利用者はサービスに対する対価を自ら決定するのです。
ロッジの中ではピアノの生演奏中。
人びとは何をするでもなく音楽に耳を傾け、スピリチュアルな雰囲気に私はいきなり圧倒されてしまいました。
ロッジに面した広場に、柵で囲われた源泉池があります。
施設で使われる温泉はすべてここから供給され、湧出点の温度は82℃もの高温です。
Meadow(牧草地)プールズと名付けられた三つの露天風呂は、源泉池から遠ざかるにつれ温度が高く設定されています。
こちらがNearプール、温度は38℃のぬるめ。
温浴エリアはすべて混浴(Clothing optional)です。
他の多くの施設では、そうは言っても水着を着用する人もいるわけですが、ブライトンブッシュではほぼ全員が全裸で、あっけらかんとしています。
こちらはMiddleプール。
もっとも大きく、温度は40℃の適温。
最奥に位置するのがSilentプールで、私語厳禁です。
42℃と(アメリカでは)熱めで、入浴者は瞑想にふけっています。
湯は無色透明で、控え目な硫化水素臭を放ちます。
蒸し風呂とバスハウス
オレゴン杉の森の中を散策していると、触れられないほど高温の源泉が流れていました。
それを源泉池に向かって遡ると、蒸し風呂があります。
Robert Ashworth – Steam hut Breitenbush (2013) CC BY 2.0
流出する熱水の真上に設けられ、圧倒的な地熱を実感できるおすすめのスポットです。
ヨガのワークショップが行われているのを横目に森の中を進むと、古めかしい小屋が見えてきました。
バスハウスです。
男女別の部屋の入ってすぐのところにシャワールームが並んでいて、その奥に一つだけ貸切風呂があります。
小さなクローフットタブはFirst-come-first-serve(先着順)で利用できます。
気泡を伴うスパイラル・タブ
ロッジのちょうど裏手に位置するのが、Spiral(らせん)タブ。
五つの小さな浴槽が円を描くように設置された露天風呂です(一つは水風呂)。
私は、ここの湯にすっかり魅せられてしまいました。
新湯は、温泉ガスの気泡を伴って勢いよく投入されます。
浴槽が小さく、湯の鮮度が格段に良く感じられます。
次回は宿泊で利用したい……
ブレイテンブッシュの空気に、私はいつしか馴染んでいました。
まとめ
Breitenbush Hot Springs Retreat & Conference Center, Detroit, Oregon, U.S.
私の好み
種類:宿泊、日帰り
ルール:混浴、貸切風呂
塩素消毒:感知せず
泉温:~82℃