米国最大級の人造湖、ミード湖周辺は、アメリカの国立公園の中でも五本指に入る人気のエリア。
この公園内に湧く温泉のうち、もっともアクセスしやすいのがロジャース・スプリングです。
沈んだゴーストタウン
レイク・ミード国立保養地で一番の見どころといえば、何といっても巨大な湖をせき止めているフーバーダムでしょう。
ボート、ジェットスキー、カヌー、釣りなどのウォーター・レジャーも盛んです。
Tydence Davis - Ice Cream Parlor (2018)
CC BY 2.0
ちょっと変わり種としては、北外れのセント・トーマスに足を延ばしてみてはいかが。
ダム建設に伴って1930年代に水没した町が、湖の水位が下がったことにより露出しています。
魚だらけ
さして見るべきものはないと思われがちな公園の北側に、もう一つ、温泉ファンなら見逃せないスポットがあります。

それがロジャース・スプリング。
ミード湖を眼下に望む丘の上に湧く温泉で、公園状に整備されています。

駐車場からあずまやと池が見えます。
この池が、れっきとした温泉なのです。

北東の砂漠に降った雨が地熱で温められ、当地に湧き出ているとの案内板がありました。

ここは単に眺めるだけの場所ではなく、自由に泳げました。
特段のルールは明記されていませんが、家族連れも多いので水着着用が原則でしょう。
鼻を温水につけるな、という警告が目に付きました。

殺人アメーバと呼ばれることもあるフォーラーネグレリアが、池に生息しているためです。
鼻孔を通って脳へ侵入した場合、高い致死率で知られています。
といっても、いたずらに恐れることはありません。
自然界の温水には大抵どこにでも存在する種の微生物に過ぎません。



泉源は、駐車場の反対側の丘に面した場所にありました。

岩山の下から、無味無臭の源泉が激しく湧出し、水面に波紋を描いていました。

泉温は年間を通じて30℃。
夏場の気温は優に40℃を超えるので、暑い季節にうれしい温泉です。

深さは足が届くほどしかありませんが、驚くほど大量の小魚が泳いでいました。
アメーバさえいなければ、シュノーケリングするのですが……

ピクニックテーブルが並んでいる辺りから、温水が流出していました。

あふれた温泉は遊歩道の下をくぐり、湖まで流れている様子。

単一の泉源から湧出している割にはなかなかの流量。

トロピカルな雰囲気の林で日差しが遮られて、ちょっとしたリゾートのような感じ。

ブルー・ポイント・スプリング
ロジャース・スプリングから車でわずか2分のところに、別の鉱泉が湧いています。

それがブルー・ポイント・スプリング。
こちらも公園のように整備されていますが、より小規模です。

ヤシの木の生えている場所は湿地になっていますが、水は冷たい。
水の出所を探してみることにしました。

丘の方向へ歩くと、うっそうと生い茂った下草の中に泉源らしき穴が見えました。

ここから流出した温水が、先ほどのヤシの木の辺りに滞留しているらしい。

白い流量計が設置されていました。
こんな小さな渓流も、国立公園にとっては管理すべき対象なのでしょう。

砂地の至る所から、泉温29℃のぬる湯が緩やかに噴出していました。

さすがに浅すぎて、ここで入浴するのは断念しました。
まとめ
Rogers Springs, Lake Mead National Recreation Area, Nevada, U.S.
私の好み
種類:野湯(要入場料)
ルール:水着着用
塩素消毒:なし
泉温:~30℃