「カリフォルニア水戦争」の舞台となったオーエンズ・バレー。
こちらの温泉プールもまた、時代の波に翻弄されてきました。
カリフォルニア水戦争
カリフォルニア州インヨー郡最大の都市、ビショップから南へ10分車を進めたところにあるのがキーオズ・ホットスプリングス。

古めかしい天然温泉プールとRVパーク、キャンプ場で構成されています。

もともと、ネイティブ・アメリカンのパイユート族が利用していた温泉地に、白人が入植し始めたのが1800年代後半。

1859年に初めて泉温が測定され、53℃を記録。
それは今日でも大きく変わっていません。
OWENS VALLEY HISTORY
1919年、健康ランドの構想を持っていたPhilip P. Keoughによって創業されました。

当時、単なる温泉プールにとどまらず、釣りや食事、ダンスやイベント、キャビンでの宿泊が可能な一流の社交場として大いに繁栄したといいます。

また、温泉水を利用した美しい果樹園を備え、訪問者はブドウ、リンゴ、ナシ、モモを無料で食べることができたそうです。

1926年、キーオは土地と水利権をロサンゼルス市に売却。



当時、ロサンゼルス市は急拡大により水源の不足に直面。
市長らはオーエンズバレーから詐取的な方法で土地と水利権を獲得し、地域経済を崩壊させ紛争を招いたことからカリフォルニア水戦争と呼ばれています。

ロサンゼルス水道電力局の所有物となったキーオズ・ホットスプリングスは、その後さまざまな運営者に短期リースされました。
そのことで長期的な展望に基づく維持改善がなされない原因を招いた、との辛辣な意見もあります。
タイムトラベル

さて、そんな時代の波に翻弄されてきたキーオズ・ホットスプリングス。

飾らない古めかしい雰囲気が、私にはむしろ魅力的に感じられました。

プールサイドにある男女別の更衣室。
更衣室から見上げた天井の感じも素晴らしい。

12月の訪問でしたが、四方を壁で囲われたプールは、幻想的な湯けむりで全容がつかめない状態になっていました。

スイミング・プールは30m×12mの大きさ。

深さは0.9cm~2.6m。

激しい湯けむりの出所は、高温の源泉をスプレー状にプールに散布する設備でした。

これによってスイミングプールの温度は32℃程度とぬるめに保たれていました。

スプレー・システムの奥には、屋根で覆われたホットプールがありました。

じっくりと温泉を楽しむならここ。
40℃の湯は無色透明・無味無臭。

視界は湯けむりに奪われ、入浴はさながらタイムトラベルでした。

まとめ
Keough's Hot Springs, Bishop, California, U.S.
私の好み
種類:日帰り、宿泊(キャンプ場)
ルール:水着着用
塩素消毒:あり
泉温:~53℃