カリフォルニア州

テコパ・マッド・バス - カリフォルニア州の温泉

2019-12-15

砂漠をさまよっていた私の前を、バスローブを着たオジサンが横切りました。

いざ尾行開始!

古代湖の底で

テコパ・ホットスプリングスは、温泉街全体が携帯電話の圏外。

野湯の位置をうっかり調べないまま町まで来てしまい、それらしい場所を勘で探していると、ヒッピー風のオジサンを発見。

Entrance

砂漠に……バスローブ?

温泉に向かっているに違いありません、ということで尾行。

あるぱか
あるぱか
人のことオジサンって呼べる年齢?
許して
かぴばら
かぴばら
Trail

乾ききったテコパの大地は、約1万年前まで古代湖の底にあったそうです。

もろい土壌がその名残。

Fragile Ground 1

植生を拒む荒涼とした風景の中で、温泉が自噴する周辺だけにヨシが生えていました。

完全なる静寂

舗装路から徒歩わずか数分で、沼までたどりつきました。

From West

スタート地点が分かりづらいだけで、アクセス容易な野湯でした。

Fragile Ground 2

周辺の土壌には温泉成分が析出して、毒々しい色を見せていました。

From North West

細長い形状をした沼は、手前側がぬるく32℃程度。

奥へ進むにつれてどんどん水温が上がっていました。

Signboard 1

看板を発見。

Signboard 2

この湿地帯にはアマルゴーサ・ハタネズミという絶滅危惧種が住んでいる様子。

Muddy Water 1

世界でもテコパの温泉周辺にしか生息していないとの説明書き。

Muddy Water 2

ちなみにアマルゴーサとはスペイン語の「アマルゴ=苦い」に由来する地名で、アマルゴーサ川という涸れ川がデス・バレー方面へ続いています。

From North East

湯はにごっていましたが、温泉成分のためというより、古代湖の湖底に堆積した微細な泥が舞っているようでした。

Bubbling

一番奥まで来ると、湯溜まりの底から断続的に泡が発生していました。

この辺りに源泉が集中しているのが分かりました。

44 Degrees F

泉温を計測してみると44℃。

入浴するには熱すぎるぐらいの湯加減。

From East

この湿地帯は希少動物が住んでいるだけでなく、過酷な自然を生き抜く生物たちの宝庫です。

厄介なダニに刺される被害が報告されています。

From South

水際を入念に調べて、浸かるべきかどうか迷っていましたが、その横でくだんのヒッピーが全裸で泳いでいました。

何だか馬鹿らしくなってきたので、ハタネズミを驚かせないようにチャポンと浸かりました。

Pipe

もっとも深い地点で1メートルほど。

底はフワフワの泥ですが接地感があり、底なし沼のような恐ろしさはありませんでした。

Soaking

ほのかな硫化水素臭を伴う名湯。

先客が去ると、いよいよ砂漠で独りになりました。

辺りは自分の心臓の鼓動すら聞こえる完全な静寂に包まれました。

まとめ

Tecopa Mud Baths, Tecopa, California, U.S.

私の好み

種類:野湯

ルール:混浴

塩素消毒:なし

泉温:~44℃

  • Writer

Hot Springer Ken

A hot spring enthusiast based in Japan. Toured over 300 North American hot springs while working in Texas from 2016 to 2022. For updates, visit X or Instagram!

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