サンディエゴから東方へドライブすること2時間半、乾ききったインペリアル・バレーにヤシの木の生い茂る、絵に描いたようなオアシスが姿を現しました。
そこに人知れずこんこんと湧く水が、温泉でした。
サルベーション・マウンテン

サルべーション・マウンテンは今や世界中から観光客が訪れる人気スポット。
レオナード・ナイト(2014年死去)が、この奇妙なトラックの中で生活しながら、30年もの歳月を費やしてたった一人で作り上げたといいます。

当初は違法建築に過ぎなかったものの、2002年にはその特異性と芸術性が公に認められ、州の文化財に登録されました。
極彩色と宗教的なメッセージであふれる、さながら砂漠のオアシスです。
陥没する源泉池
サルベーション・マウンテンから車で40分、ヤシの木の生い茂る本物のオアシスが出現します。

オアシスまでにさらさらの砂で覆われた砂漠を通過する必要があり、うっかり車を停めると身動きがとれなくなる危険性があります。
インペリアル・バレーの夏場の最高気温は38℃を超えるため、立ち往生は死活問題です。
四輪駆動車で訪れ、固い地盤を見きわめて停車してください。

ヤシの下には10人くらいが入れる、深さ50cm程度の池が広がっていました。

池の中央付近の底に設置されたパイプから、源泉が噴き上がっているのが分かります。
湧出点の温度は33℃のぬる湯で、取り立てて特徴のない泉質。
小魚が泳いでいますが人為的なゴミは少なく、比較的清潔な状態に保たれていました。

水着着用は任意(Clothing optional)。
私が訪問した時、全裸の老人が一人で入浴していました。
声をかけてみると温泉の管理人のようで、湯口となっているパイプを設置したのも自分だと言い張ります。

半信半疑で老人の言う通りにパイプを手で塞いでみると、驚きました!
池の底が突然陥没して、足が膝まで埋まって砂風呂のようになったのです。



パイプが設置されていなければ至る所から源泉が噴出して、底なし沼のようになるのではないでしょうか。
唯一無二の機構のおかげで、露天風呂としても砂風呂としても楽しめるオアシスの温泉は、ほとんど誰にも知られることがないまま今なお湧き続けています。
まとめ
Five Palms Hot Springs (Warm Well Oasis), Yuma, California, U.S.
私の好み
種類:野湯
ルール:混浴
塩素消毒:なし
泉温:~33℃