その昔、世界最大級の間欠泉地帯として知られたアメリカ・ネバダ州スティームボート。
地震と大火で廃れた温泉地に、唯一残る温浴施設を訪ねます。
消え失せた温泉街
ネバダ州北部最大の都市リノと、州都カーソンシティを結ぶハイウェイ沿い。
「トム・ソーヤーの冒険」の著者、マーク・トウェイン自身が1860年代に命名したとされる温泉地、スティームボートがここにあり、往時は豪華な温泉宿が建ち並んでいたといいます。
1900年の地震で間欠泉の大規模な活動は終息し、その翌年の大火でほとんどの建物が無に帰しました。
1925年、女医Dr. Carverが新たな源泉を掘削し、温泉病院を開業。
その後二度の火災で焼失しながら、1940年代に再建されたスパニッシュ様式の建物が、日帰り入浴施設として現在も使われています。
突如、ゴーッという大きな音がして振り向くと、通りを挟んで反対側から白煙が上がっています。
コンクリートの構造物に囲われているのが源泉井戸で、約5分おきに水蒸気を吹きます。
間欠泉の活動が、ささやかながら残っているようです。
湧出点の温度は96℃というまれに見る高温。
近くに地熱発電所があるのも、むべなるかな。
構造物からあふれた温泉は斜面を下り、含有成分が流路に析出しています。
湯はそのまま、通りの端を流れ去ります。
スティームボート温泉&ヒーリング・センターは温泉宿でも公衆浴場でもなく、ヒーリング、デトックス、リラクゼーションを目的とした温浴施設です。
基本的な方向性は開業時から変わらず、Dr. Carverの先見の明に、時代がようやく追いついたようです。
ヨガからアーユルヴェーダまで、様々なワークショップが用意されています。
もちろん入浴のみも可能で、30分一人$20.00、二人$35.00~(執筆時現在)。
受付では「好きな香りは何?」と聞かれます。
ぼんやり聞き流すと浴槽にラベンダー・アロマなどを投入されるので、全力で拒否してください。
無香料でよろしく!
超高温の源泉に、やむを得ず加水
浴場は七つの貸切内風呂と一つの露天風呂で構成されます。
まずは屋外エリアから。
緑いっぱいの裏庭に、4人サイズのプールが一つ。
適温に加水された源泉が、勢いよく投入されています。
私は30分コースで貸切内風呂を割り当てられましたが、露天風呂も自由に使っていいと告げられました。
短時間のため、かなり慌ただしくなりましたが……
内風呂へ移りましょう。
どれも似たような構造で、白いタイル張りの個室。
面白いことに部屋毎にシンボルカラーが決まっていて、照明とステンドグラスの色で違いを付けています。
書き忘れていましたが、受付で最初に「好きな色は何?」と聞かれるので、面食らわないように。
二人サイズの細長い浴槽に、自ら新湯を投入します。
左のバルブをひねると、熱々の源泉がそのまま出てきてびっくり!
一瞬でも触れられない超高温で、浴室には即座に湯気が立ち込めます。
時間的な制約もあり、やむを得ず加水。
加水のせいかあっさりした浴感で、ほんのり焦げたようなにおいが印象的です。
圧倒的な地熱エネルギーに、温泉街のかつての栄華が想像されます。
まとめ
Steamboat Hot Springs & Healing Center, Reno, Nevada, U.S.
私の好み
種類:日帰り、宿泊
ルール:水着着用、混浴、貸切風呂
塩素消毒:あり(大プール)、感知せず(その他)
泉温:~48℃