「汚い靴下」という名のとおり、人々に愛されているとはとても言えない温泉。
それでもなお温泉は湧き上がっていました。
オーウェンズ湖のほとりで
1913年以降、カリフォルニア州オーウェンズ湖では、人口の急増したロサンゼルスへの水道水の供給のために急速に湖面が低下し始めました。
今やほとんど干上がり、発がん性物質を含む米国最大級の粉じん汚染源となったオーウェンズ湖の南東に、ダーティー・ソックス温泉はあります。
州道190号線を脇に逸れて荒野を走ること一分程度。
ほとんど道の体をなしておらず目印もなかったので、一瞬不安になりました。
ダーティ・ソックス温泉の始まりは1917年。
第一次世界大戦の勃発により炭酸ナトリウムが必要となり、その回収のためにミネラル豊富な当地に井戸が掘られました。
忘れられた歴史
戦争が終わると井戸は自然に流れるに任され、1927年には温泉リゾートの目玉としてコンクリート製のプールが建設されました。
現在も名残を留める円形のプールです。
残念ながら施設は完成することなく、計画中止となりました。
その後、住民の希望に基づき、1967年にはインヨー郡の郡立公園として整備されることとなりました。
運営は困難の連続で、心無い利用者による破壊行為や、大量の藻の発生に悩まされたようです。
結局、1978年に公園は無期限閉鎖となり今日に至ります。
私の訪問時は、プールを囲う金属製の柵や水中に降り立つステップこそ残っていたものの、廃墟はほとんど自然に還ろうとしていました。
プールの底には割れたガラスなどが散乱しているので、ウォーターシューズが必要です。
寒い時期に訪れたので、プールの温度はおおよそ29℃程度。
中央部にある小島付近の水面下に、先述の井戸が残っていました。
そこから新湯が供給されていて、湧出点では泉温33℃を計測しました。
もっとも深い場所で1.5mほどの深さがあるようです。
「汚い靴下」という衝撃的な名前の由来については、諸説あります。
近隣の鉱夫たちが汚れた靴下を洗っていたといわれていたり。
あるいは、枯草のような独特な香気の混ざった硫化水素臭に由来しているとか。
いずれにしても、奇妙な泡立ちと藻の発生を伴うこちらの温泉では、快適な湯浴みとはなりませんでした。
まとめ
Dirty Socks Hot Springs, Olancha, California, U.S.
私の好み
種類:野湯
ルール:混浴
塩素消毒:なし
泉温:~33℃