豊富なミネラル成分で石けんのように泡立つ湖があるらしい。
と、いうわけでワシントン州に急行しました。
独特の触感とにおい
ワシントン州最大の都市、シアトルと第二の都市スポケーンの中間付近にあるのが、ソープ・レイク。
先住民の時代から「癒しの水」で有名な湖です。

湖水には薬効があるとされ、1920年代ころには多くのサナトリウムなどが街に立ち並んでいたといいます。
そのうちのいくつかはホテル・スパとして現役で、そこでは施設の中で特徴的な水を楽しめます。

現在、ソープ・レイク・ナチュラル・スパ&リゾートでは、歴史の異なる二つの宿泊施設が一体運営されているようです。
Notras Lodgeは、1983年創業の比較的新しい施設。

チェックインは、全ての宿泊客がNotrasで行います。
広々とした造りの富裕層向けキャビンといった風情。

私が泊まるのは、こちらのThe Inn at Soap Lake。
1905年に建てられた歴史的なホテルで、丸みを帯びた石を用いたユニークな外観をしています。

現在の運営からは、非常にビジネスライクな印象を受けました。
実際、貸会議室や結婚式など手広くやっている様子。

アメリカにしては小振りな客室。
狭いスペースに冷蔵庫、電子レンジなどが機能的に配置されていました。

飾り気がなくてビジネスホテルみたい。
バスルームも同様で、ここに「癒しの水」が導水されているとは信じがたい殺風景さ。

壁面に設けられた二つのバルブのうち、下側をひねるとろ過された湖水が蛇口から出てきました。
温度調節が有効で、もっとも熱くすると殺菌のためか60℃近くまで加温されていました。

湯は無色透明で一見平凡に見えますが、普通ではない泡立ち。
肌触りは、驚異的なニュルニュル。
口に含むと石けん水のような不快な刺激が通り過ぎた後に、香り高いエビのにおい。


謎が深すぎる湖

あまりの驚きにしばし興奮していましたが、うっかり肝心の湖に行くのを忘れていたのに気づきました。

ホテルは湖畔に建っていて、プライベートビーチ付き。

ビーチへと続く中庭に出来合いのジャグジーが一つ、サウナが二つありました。

ここでも例の水を使用している様子。

なぜ、ソープ・レイクが石けん水さながらの強アルカリ性、pH値10を示しているか。
そのヒントは地図を眺めてみれば分かるかもしれません。

ソープ・レイクから北東に向かって細長い湖が点在し、ドライ・フォールズ(枯れた滝)を通過、グランドクーリーダム辺りでコロンビア川に到達します。
その経路はミズーラ洪水の流路である、古代の河床といわれています。

ミズーラ洪水とは、氷河期の終わり13,000~15,000年前の約2,000年間でおよそ50年に1度起きたという、氷河湖の決壊に伴う大洪水。
溶岩台地を膨大な量の流水が切り開き、火山性の物質が周期的に南方へ押し流されました。

ソープ・レイクは、そうしてできた地溝の南端に位置しており、それが当地にミネラル分が凝縮した理由だといいます。

スケールが大きすぎて眉唾物に聞こえるかもしれませんが、湖底に温泉が湧いているとか、そうした背景はなさそうです。

ちなみに湖面では一切の泡立ちが見られませんでした。
実際、グランドクーリーダムが建設されて以降は風の強い日しか泡立たないようです。

それでも、湖水の肌触りは先ほどバスタブで感じた通り。
強アルカリのため魚は生きられず、極小のエビだけが生息しています。

それがあの時感じたエビのにおい?
もう分かりません、とりあえず行って体感してください。
まとめ
Soap Lake Natural Spa & Resort (the Inn at Soap Lake), Soap Lake, Washington, U.S.
私の好み
種類:宿泊
ルール:温泉付き客室、水着着用
塩素消毒:感知せず
泉温:加温湯