広大な溶岩原の端に湧いている温泉。
国定公園の指定をわずかに外れた私有地にあります。
クレーターズ・オブ・ザ・ムーン国定公園
完新世の玄武岩溶岩原としてはアメリカ本土で最大。
1924年に国定公園に指定されたクレーターズ・オブ・ザ・ムーン国定公園は、アイダホ州の州都ボイシとイエローストーン国立公園のおおよそ中間地点に位置しています。
Craters of the Moon aerial view (2020) - BroMcjoe
CC BY-SA 4.0
1万5千年前から2千年前にかけて、当地では断続的な溶岩の噴出があったと推定されています。
粘性が低く流動性の高い溶岩のため大きな山体を構成することなく、見渡す限りの平原が暗色の岩石に覆われている様子が、月の表面に似ているのではということで命名されたそうです。
地質学者は、今後900年の間に次の噴火が起こると予測しています。
驚異的な透明度
国道26号線が、国定公園の北縁を迂回するように通っています。
ビジターセンターから西への24kmの地点。
国道沿いに駐車できるスペースがあり、鉄柱が一本立っているところが、ワイルド・ローズ・ホットスプリングスへの入り口。
国定公園の指定をわずかに外れており、私有地ですが立入禁止にはなっていません。
もっとも、土地所有者はこの場所をあまり知られたくないことは想像に難くありません。
敬意をもって利用し、ごみの持ち帰りに協力してください。
国道の北側に火山活動に起因するとみられる縦穴を発見。
その横に、澄んだ水をたたえるワイルド・ローズ・ホットスプリングスがありました。
溶岩流が大地を走り、正に停止した北端に温泉が湧いていることが分かります。
湯だまりは大小二つのプールが連なって構成されており、細くなっている中央部に木製パレットが置いてありました。
湯のほとんどは小さい方のプール内に自噴していて、あふれた湯が大きい方のプールを満たしていました。
湧出点での泉温は38℃のぬる湯。
驚異的な透明度の、無味無臭の源泉。
深さは1.5m程度で藻の発生はほとんど見られず、快適に湯浴みできました。
大きい方のプールの反対側はせき止められていて、あふれ出た湯はそのまま草むらの中に消えていました。
さて、大小二つのプールの奥の地面に、踏み跡が続いていたのが気になったので探索してみると……
ぎりぎり浸かれる程度の、極小サイズの別の湯だまりを発見。
こちらの泉温は37℃で、不思議なにごりが生じていました。
空の雲が乳白色の湯面に写りこんで、えも言われぬ景観を作り出していました。
まとめ
Wild Rose (Milford) Hot Springs, Craters of the Moon National Monument and Preserve, Idaho, U.S.
私の好み
種類:野湯
ルール:混浴
塩素消毒:なし
泉温:~38℃