不況と温泉。
アメリカの温泉のいくつかは、大恐慌後の失業対策として開発された歴史を持っています。
西側の豪快な捨て湯
サーモン川に沿ってアイダホ州道75号線を走っていると、サンビーム温泉を見逃すことはないでしょう。
湯けむりが上がっているのがよく見えるためです。
道路脇に駐車スペースがあるので、車を降りてみましょう。
ここはソートゥース国立保養地の一部で、よく整備されています。
1937年に建設された歴史的な浴場が保存されています(現在は更衣室としての利用のみ)。
サンビーム温泉は、市民保全部隊(Civilian Conservation Corps)によって開発された温泉の一つです。
市民保全部隊とは、1930年代、大恐慌後のニューディール政策の一環として、若者をキャンプで従事させることで職業訓練を行った失業対策プログラム。
これにより僻地の温泉開発が進んだという意外な一面もあります。
温泉は浴場を挟んで東西に見られます。
西側では、土手の中腹に設けられたパイプから川原に向かって、豪快に湯が捨てられています。
道の反対側から引湯されているので、見てみましょう。
太陽の光(サンビーム)が湯けむりに当たり、幻想的な光景。
斜面の途中に源泉井戸らしき構造物があり、その付近から大量の熱湯が流出している模様。
こうして見ると、サーモン川よりずっと高い位置に泉源があることが分かります。
さて、泉温は70℃近いのでそのままでは入浴不可。
川原には有志が残した岩風呂がたくさんあり、これらを利用して川の水と混ぜて入浴します。
全裸可(Clothing optional)ですが、幹線道路からよく見える場所にあるので、水着着用を推奨。
膨大な湯量をいささか上手く活用できていない感じがもどかしい。
今度は、浴場を挟んで東側に行ってみましょう。
東側のドラム缶風呂
土手の上から眺めた様子。
青い角柱状の浴槽と、エンタシスの膨らみを示す円柱状の浴槽、その下方に岩風呂があります。
泉源は先ほど見た西側に集中しているので、東側ではホースなどを利用して半ば強引に引湯しているようです。
ホースから注がれる源泉は58℃。
ドラム缶は近隣のボート・ボックスのものに似ていますが、一回り小さい。
参考ボート・ボックス(エルクホーン)ホットスプリングス - アイダホ州の温泉
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私は結局、広々とした岩風呂で過ごすのが一番気に入りました。
あっさりとした浴感の高温泉が大量に投入され、清潔感があります。
まとめ
Sunbeam Hot Springs, Sawtooth National Forest, Idaho, U.S.
私の好み
種類:野湯
ルール:水着着用推奨
塩素消毒:なし
泉温:~58℃