近代的なプール施設に見えますが、実は歴史ある天然温泉。
貸切風呂を利用しないことには、その真価は分かりません。
長距離を引湯
コロラド・スプリングスからロッキー山脈に向かって西へ2時間のドライブ。
コロラド州の市サリダ(Salida)は、スペイン語で「出口」という意味で、アーカンソー川が峡谷を通じて流出する出口に位置しています。
市営の公共施設であるサリダ・ホットスプリングス・アクアティック・センターは、近代的な屋内プールのような雰囲気でピカピカ。
実のところこの施設の歴史は長く、世界恐慌にまで遡ります。
1937年、第二次ニューディール政策の一環として知られるWPA(Works Progress Administration)により、失業者対策として建設されました。
泉源は西に約7km離れたポンチャ・スプリングスに複数あり、古くから人口密集地であったサリダまで長距離を引湯する工事を含めて、大規模なプロジェクトであったといえます。
入り口を入ると、正面に6レーンの25mプールが広がっていました。
水温28℃。
塩素消毒の臭いが鼻を刺激しました。
温泉水こそ使用されているものの、この巨大プールを衛生的に保つには薬剤の使用は不可避ということでしょう。
25mプールの奥には水温37℃のレジャープール。
カルキ臭については同様に残念な状態でした。
隠された貸切風呂
温泉好きにとって、サリダ・ホットスプリングスの真価は貸切風呂にあります。
この巨大施設に三つしかない貸切風呂は、スタッフの先導がないと入れないスペースにあり、隠されていると言っても過言ではありません。
公式サイトから事前予約でき、1時間制。
閉塞感のある時代がかった廊下を進みました。
浴室は左右の違いはあるものの、どれも似通っていました。
窓一つない浴室は無機質な印象でしたが、木製の大きなベンチが場の雰囲気を和らげていました。
浴槽は刑務所の独房のような狭い空間にあり、ぎりぎり二人浸かれるサイズ。
階段状に徐々に深くなっている浴槽は、床面より低い位置に埋め込まれていました。
バルブをひねると、48℃のアツアツの源泉が勢いよく飛び出してきました。
塩素消毒の臭いは感じられず、無色透明・無味無臭。
直距離を引湯されているからかきわめてマイルドで、特徴の乏しい浴感でした。
とはいえシャキッとする高温の温泉は気持ちよく、スイミングプールでの湯使いに失望しただけに、貸切風呂での感慨もひとしおでした。
まとめ
Salida Hot Springs Aquatic Center, Salida, Colorado, U.S.
私の好み
種類:日帰り
ルール:水着着用、貸切風呂
塩素消毒:あり(プール)、感知せず(貸切風呂)
泉温:~48℃