アメリカで冬季オリンピックのアスリートをもっとも多く輩出してきた町、コロラド州スティームボート・スプリングス。
そんなスキーリゾートの町に隠された、温泉街としての一面に迫ります。
地獄めぐり・コロラド編
ウィンタースポーツを楽しめるリゾート地として名高いスティームボート・スプリングスでは、温泉ファン必見の地獄めぐりを体験できます。
しかし、スキーリゾートという巨大な観光資源の前では、まったく存在感がありません。
ネイティブ・アメリカンのユート族が住んでいた当地に白人が入植した後の1900年代初頭には、国中から鉱泉の効能を求めて旅行者が集まったというのに、その廃れっぷりは明らか。
泉温23℃のアイアン・スプリングは、ほとんど枯れています。
水面には油膜が張って清潔感に欠け、かろうじて分かるのは鉄分を多く含むことだけ。
ソーダ・スプリングスにいたっては、1970年代の幹線道路建設が原因で完全に枯れています。
ここでは硫黄分の少ない炭酸水が湧いたらしく、往時にはガゼボの下でレモネードを作るのがオシャレだったそうです。
青みがかった水たまりが激しく泡立っているのは、サルファー・スプリング。
泉温23℃。
町はずれのリティア・スプリングでは、円形のプールに乳白色の鉱泉が湧いています。
泉温22℃。
リチウムは心の病気に有効で、今日でも双極性障害（躁うつ病）の基本的な治療薬です。
工業生産が難しかった時代には、リチウムを含む温泉の飲用が治療法とされ、泉の水がボトル詰めして売られていました。
ブラック・サルファー・スプリングは、貨物列車の軌道すれすれに白濁の鉱泉が自噴しています。
泉温21℃。
スティームボート・スプリングでは、26℃の青黒いぬる湯が泡立っています。
スティームボートとは蒸気船という意味です。
1800年代後半には高さ4メートルほどまで噴き上げる間欠泉で、蒸気船のような轟音を立てていたことから町の名前の由来となりました。
その後、1909年の鉄道敷設が原因で間欠泉の活動は弱まってしまったとのこと。
なんてことだ！
町を見下ろす高台に位置しているのが、サルファー・ケーブ。
16℃で湧く鉱泉の活動により、ほとんど垂直に洞窟が形成されています。
ハート・スプリング
ここまで巡ってきた鉱泉はどれも入浴用ではなく、泉温が不足しています。
郊外にあるストロベリー・パーク温泉を除けば、入浴可能な唯一の泉源は日帰り入浴施設、オールド・タウン・ホットスプリングスの中にあります。
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参考ストロベリー・パーク・ホットスプリングス（スティームボート・スプリングス） - コロラド州の温泉
ワイルドな巨大露天風呂に、熱々の単純泉が掛け流し。 日没後は、水着を着る必要すらありません。 一年の半分は積雪注意 スキーリゾートとして有名なスティームボート・スプリングスの町から、ぐんぐんと高度を上 ...
通りを挟んで反対側にあるラビット・イヤーズ・モーテル。
モーテルの宿泊者は、オールド・タウンの割引券を購入できます。
最新のスーパー銭湯のように、都会的な雰囲気の施設。
更衣室もピカピカです。
温浴エリアは全て屋外にあります。
更衣室を出てすぐのところにあるのは、スイミング・プール。
温泉を利用している感じは、皆無です。
ウォータースライダーを潜り抜けたところにある大きなプールには、二つのアーチ橋が架かっています。
湯は黄色みを帯びていて温泉利用がうかがえます。
それを取り囲むように、三つの温泉プールが存在します。
残念ながら、一つの例外を除いてひどく塩素消毒されています。
その例外が、最奥に位置しているハート・スプリングです。
細長いハート状のプールに、39℃の透明な湯が注がれています。
1900年代初頭からずっとこの形状をしているようです。
湯尻からざばざばと湯があふれ、湧出量は十分。
底面のいたるところから泡とともに源泉が噴出しています。
まさかの足元湧出というわけです。
Old Town Hot Springs
塩素まみれの子供がはしゃぎまわるプールの一角に、こんな名湯が鎮座していたとは。
スティームボートの素晴らしい泉質を、もっと自然の雰囲気の中で楽しめたら最高なのですが……
まとめ
Old Town Hot Springs, Steamboat Springs, Colorado, U.S.
私の好み
種類：日帰り
ルール：水着着用
塩素消毒：感知せず（Heart Spring）、あり（その他）
泉温：～39℃
