珍しい温泉を追い求めていた私は、気が付いたらダイビングスポットに浮かんでいました。
それも、海から遠く離れたユタ州で。
内陸州のダイビングスポット
グレートソルト湖の南岸、ソルトレイクシティ国際空港から車でおよそ30分の荒野に、面白いスポットがあります。

ボンネビル・シーベースは、内陸のユタ州にありながら本格的なシュノーケルやスキューバダイビングが可能な唯一無二の施設。
その名称は約13,000年前まで当地にあった巨大な湖、ボンネビル湖に由来しています。

現オーナーのリンダ・ネルソンとジョージ・サンダースがこの土地を買い取ったのが、1988年。

当時はゴミの散乱した泥だらけの湿地だったといいます。

そのもろい土壌を改良し、建設用の布などで補強。
プールも巨大クレーンでしゅんせつ。

全ての苦労は天然温泉を利用したダイビングスポットを作るという、荒唐無稽な夢のため。

それを本当に実現してしまったのですから、とんでもないことです。

パンデミック下での訪問は予約制になっていました。
予約時に$10.00のデポジットが必要。

デイユースは計$20.00でした(執筆時現在)。
別途、ありとあらゆるシュノーケリング・ダイビング用品をレンタル可能。

シャワールームも、温浴施設には決して見えない実用的なものでした。

ホワイト・ロックス・ベイ
敷地内には三つのダイビングスポットがあります。

ホワイト・ロックス・ベイへの入口は、ビニールハウスの中にありました。
地熱を利用した作物の栽培も内部で行っている様子。

ホワイト・ロックス・ベイは、もっとも多様な熱帯魚が見られるプールです。

ビニールハウスのない大部分は半透明の屋根で覆われていました。

プールの底には複数の泉源があり、開業当時の夏場は35℃まで水温が上がったとのこと。

グレートソルト湖の水量の減少に伴って温泉の湧出量も減少傾向にあり、訪問時の水面温度は24℃でした。
Bonneville Seabase
干上がったボンネビル湖の湖底に取り残されたミネラル分が絶妙な濃度で溶け込み、海洋生物の生息を可能にしています。
温泉らしい浴感こそありませんでしたが、海水浴をしているのと似た感覚はありました。
ハビタット・ベイ

もっとも広い面積を占めているのがハビタット・ベイ。

そこから流出する、細長いザ・トレンチと一体的なプールを形成しています。

浅瀬もあるので、軽装で水浴びする程度ならこの場所がよいでしょう。

自然の雰囲気をもっとも残していたのが好印象。
ザ・アビス

ザ・アビスは水深19mあり、本格的な深海トレーニングが可能です。



案の定、温泉でゆったり過ごすような雰囲気の場所ではまったくなかったわけですが、私はそれほど落胆したわけではありません。
むしろ、塩辛い温泉を利用し尽くして成し遂げた、ある種のアメリカンドリームに感銘を受けました。
まとめ
Bonneville Seabase, Grantsville, Utah, U.S.
私の好み
種類:日帰り、宿泊(RVパーク)
ルール:水着着用
塩素消毒:なし
泉温:~24℃