2019年2月、新大統領ロペス・オブラドール氏はメキシコ麻薬戦争の終結を宣言しましたが、残虐な抗争は今なお継続しています。
メキシコ第2の麻薬生産地、ミチョアカン州の温泉を訪ねます。
モナルカ蝶の乱舞
ミチョアカン州の山あいにあるアンガンゲオ村には、毎年1月から3月の間、数億羽ものモナルカ蝶が集まります。
Krynowek Eine - Belleza Emotiva (2008)
CC BY-NC-ND 2.0
この蝶の故郷は遠く離れたカナダにあり、越冬のためだけに毎年4,000km以上を移動します。
異常行動にも見える大移動は、なぜなのか?
実は、モナルカ蝶は外敵から身を守るためにアルカロイド(天然麻薬)を食料とし、冬の期間でも「薬物」を摂取し続ける依存症のため、メキシコを訪れるのだといわれています。
大自然の営みの中に、麻薬がしっかりと組み込まれているのです。
ド田舎のキャンプ場
前々政権から続く、麻薬カルテルに対する武力による「メキシコ麻薬戦争」が組織の分裂を招き、一般市民がかえって縄張り争いに巻き込まれる惨状を招いたといわれています。
ロペス・オブラドール新大統領の打ち出す平和路線も、実効性は不透明です。
観光客の多いアンガンゲオ村周辺でも、数年前に警察官10名が殺害される奇襲攻撃がありましたので、油断なりません。
目立たない身なりで行動は日中に限定し、アンガンゲオから1時間のドライブでフンガペオ村に到着。
この村には温泉が湧きます。
フンガペオにあるアグア・ブランカはかろうじて知られていますが、そのすぐ近くのアグア・アマリージャについては、英語はおろかスペイン語ですらほとんど情報がありません。
参考オテル・アグア・ブランカ - メキシコの温泉
モナルカ蝶の保護区から車で1時間ほど離れた村の突き当りに、こんな素敵な温泉リゾートがあります。 含鉄泉の酸化を利用した見事なグラデーションは必見です。 隠れ家的なリゾートホテル ミチョアカン州の州都モ ...
豪農の家のようなたたずまいの、緑豊かな敷地内を歩きます。
軽食を提供する屋台の奥に、四つの温泉プールが並んでいます。
プール脇にいくつかテントが張られています。
キャンプ客はどこでも自由に陣取りして、一晩中温泉を楽しめます。
更衣室で水着に着替えます。 手前にあるのが最大のプールです。
源泉のかけ流し量はまずまずですが、それに比してプールが大きすぎて浮遊物の排出が進みません。
隣が中規模のプール。
私のお気に入りはここです。
泉温32℃程度の源泉はぬるいですが、温泉らしい金気臭を伴います。
湯口の近くに寄れば温まります。
次にあるのが小規模のプール。
ここは浅めなので、落ち着いて入浴できます。
最奥にあるのが最小のプール。
源泉の投入量が不足して、よどんでいる感じ。
修羅の国のように思われたメキシコの「危険地帯」に、長閑な自然の中の温泉でキャンプに興じる人々の日常があるのは、新たな気づきでした。
同じ人間なのですから、考えてみれば当然のことです。
知らない、怖い、分からないといった理由で、世の中で起きるほとんどの出来事に触れることもなく我々は死んでいくと思うと、感慨深いものがあります。
まとめ
Agua Amarilla, Jungapeo, Michoacán, Mexico
私の好み
種類:宿泊(キャンプ場)
ルール:水着着用
塩素消毒:感知せず
泉温:~32℃